日本 牛態学 会関 東地 区会 会 報51!25‑33、 2003
ハ ビタ ッ トの評価 と復元
一代 償 ミテ ィゲ ー シ ョンを評価 す る
HEP一
日 中
章
武蔵工業大学環境情報学部環境1吉平Rヤ科 tをと[email protected](lsaぷ1li tcc h.ac.jp
序
近 年
,大
規 模 な と ころで は釧路 湿 原 な どの 自然 再 生型 公共 事業,小
規模 な と ころで は 各地 の 小学 校 や 公 同 にお け る ビオ トー ブ 再生活 動 な どの 自然 生態 系復 元 ・ 創造 活 動 (以後,1自
然 復 元」 と称 す る)が
麻 ん にな ■)ている。また
,埼
に県志 木 市や 静 岡県 清 水市 興津 川流蚊 の よ うに,開
発 によ る練 地 の消 失 に対 して,消
失した 面積 の緑 地 をけ11の場 所 に 人間 の 手 によ って後 元 ・創造 す る とい う 1代償 ミテ ィゲ ー シ ョン
Jを
義務 づ けた 条例 が 制定 され 始 めて い る.
自然 復 元 は
,開
発サ イ ドにお い て も (「第 瓦サ欠 全国総 合 開 発計 画」,1998),環
境 保 護 サ イ ドにお いて も (新生物 多様 性 国家 戦 略,211陀)、 2]世紀 の 国 策 の柱 と して 期待 され て お り,昨
年 12月 に は 「自然 再 生推 進 法」7)ミ国 会で採択 され た。‐方
,環
境 アセ ス メ ン ト制度 にお いて は,1999
年施 行 の 「環 境 影 響評 価 法
Jに
よ り、 開 発 によ り 景lTlな 自然 を破壊 す る こ とにつ いて,まず 1回避!で き るか 検 討 し,「 LJ避
Jで
きな い場 合 に は破 壊 の規 模 や 程 度 を 「最 小 化 (低減)」 づる こ とを検 ふiし。 十回 避Jも
「最 小化│も
で きな い場 合 に は や む をえず 1代償Jし
な ければ な らな い とい う 3 種 類 の ミテ ィゲー シ:lン方策 (環境 保 全措 置)と
そ の優 先川東位 が 規 定 され た (図
1参
照).も
と も と環 境 アセ ス メン トの 対 象 にな る事 業 は,環
境 に差大 な影 響 が あ る ことが 明 らか な 大 規模 事 米で あ る
.従
って,今
後 、実 施 され る環 境 アセ ス 来ン ト にお いて は 「代償 ミテ ィゲ ー シ ョン│と
して の 自 然 復 元 事 業 が 義 務 化 さ 淑 る こ と に な ろ う(′ranaka,2001).
この よ うに 日本 にお いて は様 々な 自然復 元が盛 ん にな りつ つ あ るが、 そ の一 方 で新 しい問題 が顕 在 化 し始 め て い る。 そ れ は 自然 後 元 は 良 い が,
│いつた い何 を根 拠 に 自然 復 元 した
,と
言え る の か?」 とい う問題 で あ る。自然復 元事 業 が 明確 な 成功 基 準 の設定 のな い ま
まに進 め られ る と
,本
来 の 日的 が かす み.事
業 に の 自己満 足 のため の もの にな りうる各 白汗】体 や 学 校 な どで は ビ オ トー ブ 再 生活 動 が 盛 ん で あ る が
,い
った い どの よ うな ビオ トー ブ 御1造を 用標 に して いるのか公共 事 業 の場 合
,最
モな 税 金 を使 って 単 に虫が 飛/しで くる池 を作れ ば そね で 良 いの か。 費用 女、十効 果 につ いての言'3明
京イ「 もあ り、 最 も 効 率的 な 手 法 を選 択 しな けれ ば な らな い
.結
局i成 功 基準 の な い 白然 後 元 を安 易 に進 め る こ とは, 自然 復 元 行 為 そ の もの の 真仙iが疑 わオlる ことにな る.
実 際 の 自然 復 元活 動 の 目的 には
,レ
ク リエー シ ョンの場 の創 出,景
観 保 全、 防 災,環
境 教育 や 市 民 参 加 の 場 θD提 供 (森,1991))等 々ゃ 多 極 多様 で あ るしか し
,こ
れ らの│1的は,あ
る ハ定 の 自然 あ る いは 二次 的 生態 系 の保 全が実 現 しな ければ 実 現 で きな い,抑
l次的 な 円的 とい う ことが で き る。この よ うな 肯 サ1業を踏 まえ
,本
稿 で は 「い った い 何 を根 拠 に 自然 後 元 した といえ る のか?」 とい う 問 い に対 して きわ め て 合理 的 な 凹 各 を提 供 しうる と,考え られ る 米F回の定 量 的 ハ ビタ ッ ト評 価 手続 き,IH跡
)Jにつ い て そ の概 要 を紹 介す る と とも に 日本 で の 適 用 に 対 して 留 意 す る課 題 を確 理 し た。韻
回逮て きな い影響の うち最小化て きる もの は最小化 する
回避 も最小化 もで きな い影響 はやむ をえず代償す る 出典 :田 中 (1998a)
図
1
ミテ ィゲー シ ョンのfIB類と検 討の優先川虫位1.HEPの
基 本 的な メカニズ ムHEPの
メカニ ズン、をわ か りや す く理 解す るた め に,私
た ちの住 む 「家Jを
│ヒ ト」 の 「ハ ビタ星 花 順 立
予想 され うる環境影響 の全体
回避 で き る影 響 は ます 回避 す る
‑ 25
日本生態学会関 東地 区会会報51
ッ ト
1に
見tて
て以 ドに説 明 してみ た。仮 に私 た ちの家 が
,道
路 建 設 な どの理 由で 家 と そ の敷地 を事 業 のた め に明 け渡 さな ければ な らな い と仮定す る.そ
して 事 業 者 によ って ど こか他 の 場所 に新 しい家 が私 た ち に補償 され る ことにな っ た と仮 定 しよ う。 この よ うな 場 合,私
た ちは 当然の こ と と して
,元
の家 と新 しい家 とを 1様々な机 点か ら比較│ し,新
しい家 が 失われ る材ての レベル 以下 にな る ことは F水しな いで あ ろ う.この場 合の 「様 々な4見点 か らの比 較
Jに
つ いて少 し考 え て み た い。「様 々な視点 」 の 中 には
,家
の クオ リテ ィーや敷 地 の広 さな どが含 まれ て いる だ ろ う、 多分
,私
た ちが最 初 に気 にす るの は,新
しい家 の 「敷地 の広 さ
│で
は な いかアこの家 σD敷 地 が60坪で あれ ば 補 償 され る家 の敷地 は 少 な く
と も60坪は必 要 で あ る と感 じる だ ろ う
.ど
ん な にクオ リテ ィー の 高 い豪 革な家 を用意 して くれ た と して もそ の敷 地 面積 が30坪で あれ ば 問 題 とな るだ ろ う即 ち
,新
しい家 の空 間 の最 は 失わ れ る 家 のそ れ と比 較 して 少な くと も同等 か それ 以 上で な けれ ば な らな い (「午 問量 同等 の原 則J).次 に
,元
の家が消 火す る時 期 と新 しい家 が先備 す る時 期 の差 異 に関す る問題 で あ る。 新 しい家 が 先 備 され るのが,元
の家 が消 失す る前か また は同 時期 で あれば,元
の家 か ら新 しい家 へ の 引lLJRしが 可能 とな り,我
々は夜眠 る所 に囚 らな い.しか し,新 しい家 が完 備 す るのが
,元
の家 の消 失か ら5年
後 だ った と した ら
,我
々は5年
もの陪1「家 な きrl とな り路 頭 に迷 う ことを強 い られ る.ま
た,新
しい家 が20年間 の 借 地 権 付 で あ つた とす れ ば
,/L
の家で は生涯住 む ことが可能 で あ つた ものが
,20
年 問 とい う期 限 付 きにな って しま うわ けで
,こ
オlに も水服 で きな いで あ ろ う
.つ
ま り,補
償 さね るタイ ミ ングは
,失
わ れ る タイ ミング と比較 してそ れ以 前 あ る いは 同時 で な けねば な らな い し,補
償 され る時 勝1は元 々の時 間 髪 と比 較 して 少 な くと も1司等 以 liでな け れ ば な らな い (時間 量 同 等 の 原 則).
「敷地 由f積は1司 じか そ れ以下上」ゃ「準備 さオ′ tる タ イ ミ ングは 十可時 かそ れ 以 前J,「使 え る時 陪Jは同 じ かそ れ 以 上
Jで
あ る こ とが確 認 され て は じめ て,「どの よ うな クオ リテ ィー」 の家 だ ろ うか?とい
う こ とに注 意 を向 け るだ ろ う
.失
われ る家 の寝 生 は床 暖 房 付 の広 い畳 の 日本間 だ つた のが,準
備 され た 家 で は壁 が 薄 く隙 問風 が 吹 くよ うな 小部 屋 で あれ ば 我 々は納 得 で きな いで あ ろ う。 つ ま り
,補
償 され る質 は失 わ れ る質 と比 較 して 少 な く とも同 等 以 上 の レベル で な ければ な らな い (質 レベル 同 等 の原 則).
これ まで の話 をま とめ る と
,も
し我 々 の家 が 消 失 し,新
しい家 を補 償 され る と仮 定 した場 合,ま
ず 「補償
Jと
して施 され る行 為 につ いて,1空
間1と 「
時 間
J
と 1質l σ〕視点 か ら比 較 し,そ
オ1が納 得 で き る もので あ るか を判 断 す る とい う こ とで あ る.さ
らに い え ば ,「 空 間Jや
1時間Jは
「質Jよ りも優 先 され る。 な ぜ な らば
,い
く ら豪 邸 を補 償す る と提 示 され て も,そ
の た め の空 間 (建設用 地)が
な に も用意 され て いな けオl↓ゴ家 邸 も何 もな い ことにな る.ま
た,そ
の よ うな豪 邸 の準備 が今 で はな く5年後 とい う こ とになれ ば5年問 の 「家 な き十Jを
強 い られ,生
命す ら危ぶ まれ る よ うな 事態 とな るか らで あ る。 結 局,失
わ れ る家 が 行 し て いた 1慎X空
間 ×時 間1と
い う値 と新 た に補償 され る家 が有 す る 「質 ×空 間 ×時 間」 とい う値 が 同等 かそ れ 以 上 で あ る こ とが ポ イ ン トで あ る。さて
,話
を本題 の野 生 生物 に戻す 。ヒ トの場 合, 補 償 さを1る 「質X年
間X時
間Jが
少 な い とか割 に合わ な い とか 自分 の意 見 を サ!fに して 表明 で き る が
,モ
ノを 言え な い野i生
物 種 の場 合には,彼
らθD代わ りに我 々 ヒ トが そ の 判 断 を行 う必 要 が あ る
,HEPと
は,保
全す べ き野 イL′│1物TITl θDハ ビ タ ッ トにつ いて,開
発 によ り消 失す る 「質X空
ド│メ 時 間」 と,代
償 ミテ ィゲ ー シ ョン と して後 元・ 創 造 す る 「質X空
間X時
間1と
を比 較考 量す るた め の 手続 きで あ る.表
1
自然復 元 事 業 のた め の4つ
の評 価 軸番
号 項 目 内 容
1 主 体 どの野 生動物種 のハ ビタ ッ トか ?
所貝
どの よ うな 質 を有 した ハ ビタ ッ トか ?
空 間 どれだけの広さで どういう配置のハ ビタ ッ トか? 時 間 いつか らいつ まで利用で きるハ ビタ ッ トなのか ?
一‑26‑一―
2.HEP誕
生 の背 景HEl)は
,
丁F:式 名 称 を liabitat EvaluatiOn Pr()cedure(ハ ビ タ ッ ト評 価 手 続 き)と
い うそ の基 本的 な考 え方 は
,複
雑 な 生態 系 の概 念 を,野
生 生物 の ハ ビタ ッ トとい う土 地 の広 が りと直結 し た概 念 に置 き換 え
,ハ
ビタ ッ トと して の適 性 を定 性 的 か つ定 量 的 に評価 す る とい うもので あ る.HEPの
誕 生 は,1969年
に 公 布 され た 世 界最 初 の 環 境 ア セ ス メ ン ト法 で あ るNEPA(Nati()nal
Envヤonmental Pdにy Act,国家 環 境 政 策 法
)ま
で遡 る
.NEPAは
行 政 官 庁 の 「意 思 決 定 に 当た り,
(中略
)現
在 は定 景 化 され て いな い環 境 の快 適 性 及び価 値 に関 して,適
切 な配 慮 を行 な う こ とを保 証す る 方法 及 び 手続 き を (中略)明
らか に し、 策 定 す る こ と!を
義 務 付 け た (│「」法 第 102条(1) B項 ),こ
ね を受 け て,そ
れ ぞ れ の所 行 打i丁庁 は1竹分 た ちが所 告 す る環 境 要i素につ いて 定 量 的 評価 手 法 を 生 み 出 して い った 。lIEPは
,野
生 生 物 保 全 を所 行 す る連 月̀野
′lt′li物局 (trs Fish and Wildlifc
servrc)に よ って/liみ出 さオtたそ の よ うな 千法 の ひ とつで あ る
HEPの
開 発 は,「 す べ て の 11地は 野 生生物 の ハ ビタ ッ トと して何 らか の 価値 を有 して お り,そ
の価 値 は1つの数値 によ って表 示す る ことが 可能 で あ る│(Dalliel and L:tinairc,1974)と い う11態 学 生 の 仮 説 に 端 を 発 し て い る (Scharlaberger and Kumpf,1980).こ の基 本 的考 え 方は
,当
時,生
態 系 を,貨
幣価 値 と してで はな く野 生 生物 のハ ビタッ トと して の価 値 と して 定 戦化す る 手法 を探 して いた連 邦野 生生物 局 に認 め らオ
l.そ
の後 何 度か の改 良 を経 て
,1980年
に現 在 のHEl)が出 来 上が っ た (U.S Fish alldヽVildlitt Sel‐ vice、1980a).この よ う に してHEI)は
,開
発 に よ る 生 態 系 へ の 忠 影響 と,そ
の損 失補償 と して 事業 者に義 務 付け られ る 「代 償 ミテ ィゲー シ ョン│と して の 自然 復 元 行 為 を定 量 的 に 評ldllする ツ ー ル と して 誕 生 し た,同様 に様 々な官 庁 か に)様々な定 登的 な 生は 系評 価 子法 が 生 み 出 され た。 そ の 中 には ウ ェ ッ トラ ン ドの 開 発 許認 可官 庁 で あ る陸軍 工 兵 隊 (US Army Corps of Engineers)に よ って ■み 出 され た
,日
本 に も紹 介 され て い るWETや HGM等
が あ る。 こ日本生態学 会関束地 区会会報 51
れ らは も と も とウ ェ ッ トラン ドの評価 を│1的と し て い るた め
,そ
れ 以 外 の 生態 系 で は使 う ことが で きな いHEPの
特 徴 は,0陸
域,水
域,ウ
ェ ッ トラ ンドと どの タ イプ で も使 用 可能 で あ る こと
,0生
態系 の価 値 をそ こに/1忠 す る野生生物 にとってのハ ビ タ ッ トの 適 性 度 と い う視 点 で み る 「ハ ビタ ッ ト・ アプ ロー テ」 の 手法 で あ る こ と
,0米
国 の定! 技的 生態 系評 価 千法 と して は初期 に登場 しか つ親│ 在 に至 る まで 改 良 が続 いて い る こ と,な
どの理 由 か ら米 国 全州 で最 も普及 して いる 生態 系評 価 手法 で あ る。 また,英
国 な ど米国以 外 で も岩 円され てtヽる (1■ ewcek,20()0)
3̲HEPの
「主体 」,「質」,「 空 間」,「 時 間」HEl)の 令プ ロセ スは,111中(1998b)に 詳 しいので 省 略す るが, こ こで は表 とで示 した 自然復元事 米に 不 可 欠 な
4つ
の評 価 軸 が.IIIEPの 中 で どの よ うに考 慮 され て い るか を ま とめて み た。
表
2は ,HEPで
使 わ オ1る 指 数 の 企種 類 とそ ね ぞf‐lの分 析 方 法 を ま とめ た もの で あ る.HEP子
続 き は
,1番
のSIから5添のCIIUに 向 か つて 進 む.以
ド,川 貞を追 つて 説 明 した。特 筆 す べ き は
,HEPの
令ブ ロセ スが,野
′│二牛1物 を保 全す る 立場 の官 庁 (例 :連邦 野41:イ│:物局)
サ イ ドと開 発事 業 の許 認 口iを行 った り白 ら開 発 事 業 を行 った りす る 事業 所 管 ■ 庁(例 :陸年 11兵隊)
サ イ ドの 双 方 か ら派 遣 され た 生 態 分 野 の 専P'j家 (コ ンサ ル タ ン トによ る代F早も可
)2名
を最 低 限,含 ん だlIEPテーZ、 に よ って 進 め られ る とい う こ とで あ る。lIEl)の フ ロー が 「prOcc(lurc(手 続 き) と称 さオ′
せる所 以 で あ る
HEPは ,環
境 アセ ス メン トの 中 の 生 態 系 分 野 の 中 の ^i二法 で あ り,HEPの
結 果 は環 境 アセ ア、メン ト報 告 書 に掲 載 され
,一
般 市 民 の判 断 を仰 ぐ こ とに な る。 つ ま り1lEI)を 使 つ た 環 境 アセ ス メ ン トで は,調
査 プ ロセ ス (卜lEI))と情 報 公1判プ ロセ ス (環境 アセ ス メン ト
)の
双 方 にお いて,開
発 と保 全 のバ ラ ン スを図 る仕組 み が 用意 され て い る といえ る.ヽ一‑ 27‑―
番 口巧
し日
数
分析方法等 式 また は概 念
略 号 名称
(日本語)
1 Si
SuRab‖ ly index (適性 指 数)
評 価 対 象種 のハ ビタ ッ トの適 否 を規定 す る,
食物,水,被覆,繁殖等の詰 要因別 に,その 適性度 を0(まった く適 さす)から1(最適)
まで の 数 値 で 表 現 した もの。 そ の モ デ ル を Slモデ ル とい う。Siモデル は 当該 種 に関す る これ まで の既存文献 資料調査、 当該種の専 門家 による ヒヤ リング調査等 によ り作成する。
調査 区域 のハ ビタ ッ トの為 を環境 妻 因の伏覗 理 想 的なハ ビタ ッ トの為 を環境 要因の伏覗
HSl
Habitat Suitability index
(ハビタ ッ ト 適 性 指 数)
評価 対 象種 のハ ヒタ ッ トの適否 を総 合 的 に 0 (まった く適 さす)から1(最適)まで の 数 値で表 現 した もの。 したか って,HSIは複数 の Slを 総合 した ものである。HSiモテル とは,
複数 のSlモデル とHSlモデル との 関係 を示 した もので あ る。現在〕250樽以上のHSIモ デルが米 国連邦政府 か ら公表 されて いる。
調査 区域 のハ ビタ ッ トの伏覗 ,S′=
理想 的なハ ビタ ッ トの伏 覗
AHSi
Average Habrat
Sultability index
C子 】匂HSl)
調査 区域 全体 のハ どタ ッ トと しノて適性 を示 す 指 数 。 被 覆 タイ フ ご と に算 出 され たHSiを 各被覆 タイ プの面積比 率 によ って加重平均 し た もの。 調査 区域 全体 を 「質」 の視点 か ら 2 次元的 に評価 した値。
A× 湾ん十BX8ん十C× Cわ AHS′=
A tt B tt C IBし :
調査 区域 の カハ ータイブか3つに区分 され ―面積 及 びHSiがそれ ぞれA,B,C及びHSiがAh,Bh,Chて
ある場合.
Si
SuRabillty index
(過性 指 数)
調査 区域 全体 の適 性 度 (AHSi)に調 査 区域 全体面積を乗 じた値。 調査区域の 「質」 と 「空 間Jの視 点か ら3次元 的 に評価 した値.
〃υ=汁む′×調査 区域 面積
5 CHU CumulattveHabkat UnR
(累積 的HU)
経 年 的なHUの変 化 を加 味 した値 。HUに時 間を乗 じた値。調査 区域 を質 と量 (面積 と時 間)の視点 か ら4次元 的 に評価 した値.工事 着手時点,工事完 了時点ェ植栽完 了時点〕 メ ンテ ナ ンス 完了時点等,ハビタ ッ トの 「質」
と 「空 間Jに影響 を与 える行為が予 定 され い る年 のHUを予測 し、 それ らの 間のHUを直 線補 間 して求める.
CHυ =Σ (拘WSI,XAア )
任
︐ P THS Ai
:HEP分析 の 期 間 (数10年〜100年以 上)
li:1年 目のTHSI :1年目の 調 査 区域 面 積
日本 生態学 会関束 地 区会 会報51
出典 :田 中 (2002b)
(1)「
主体 」(評価 の対 象)の
評価 軸表
2で
示 したHEI)で使 わ れ る指 数 は ,i選 定 さ オlた複 数 の野 生動 物 稚 ご とに分 析 され る。言平価 対 象極 の選 定 基準 は様 々で あ るが
,●
1市民 の興 味 が 高 く
,経
済 的価 値 が 高 い種」 とrり 「生 態 的 にそ の地 域 の 生態 系 を広 く代 表す る梅Jの
2つ に 大け││でき る
.い
ず れ に して も,HEPで
は,どの寧F生動 物lllを保 全 した いのか?とい う 人間側 の明確 なホ リシーが な ければ実 施 で きな い とい う
ことで あ る
(2)「
質」 の評価 軸HEI)に お い て 1虫」 が 考 慮 さ れ る の は
,SI
(Suital)1lity index,環 境 要因適 性 指 数)」 と IHSI (Habitat Suitability lndcx,ハ ビ タ ッ ト適 性 指 数)J
のモデ ル分 析 にお いてで ある.
表
2
則押 に使 わね る指 数 の種 類まず
,ハ
ビタ ッ トの 十質」 を左 liす る環境 要 因 を ビ ックア ッフ し,そ
の 要閃 とハ ビタ ッ ト適性 と の相 関関係 を明 らか にす る。例 えば
,あ
る柿 の 夕 力が ネ ズ ミな どの餌 を狩 る 時,単
本 や 低 木 の 高 さが7()cnlぐ らい まで は 良 い が,そ
れ を超 す と高 くなオ1ばな る ほ ど館 を捕 れ な いよ うにな る.汽
水域 に牛i忠す る ス ズキ の仲 間が 他 卵 す る適 性 水 温 は17 tCか ら19.Cまで の 間 で あ り,そ
れ 以 下で もそ れ 以 上で も抱 卵 しな い。 ある 種 の ウサギ の ハ ビタ ッ トは,高
木林 の樹冠 被 度 が25%か
ら50%の
問 が 最 適 で あ る。 年 々。 この よ うな環 境 要 因 とハ ビタ ッ ト適 正 との関係 をモデ ル 化 した も の が SIモデ ル で あ る.SIモ
デ ル は,0
(ま った く不 適
)か
ら1(最
適)の
範 岡 で 表現 さ れ る。SI=0で
は 対 象 動 物 は ま っ た く 生息 せ ず,SI=1だ と最 大個 体 数 が 生育す る ことを示 す
一‑28‑―
図
2は ,ウ
サギ の一梅 の林冠密度 とハ ビタ ッ ト 適 正 の関係 を示 した SIモ デ ルで あ る (U.S.Fish and Wildlife Service,1980b).こ の SIモ デ ルでは, この ウサギ は林冠密度が25(ち か ら50?も まで の林 にはよ く生息す るが,そ
れ以 ドで も以 上で も少な くなる ことを示 している。この よ うに SIモ デ ル はあ る特定 の要 因 に対す る傾 向で あ る。
HEPで
は,で
き るだ け現 実 のハ ビタ ッ トの状況 を反映 させ るために,ひ
とつの評価 対象種 に対 し
,複
数 の SIモ デル を用意す る。例 えば
,ア
サ リは,水
温 だ けではな く,塩
分濃度,溶存酸 素
,水
流 な どに影響 され ることがわか って いる場 合,水
温 の SIモ デ ルだ けで は な く,そ
の他 の 要因 に対 して も SIモ デ ル化 を行 うことにな る.
複 数 のSIモデ ル が 集 ま っ た ら
,こ
淑 らを総 合 的 に判 断 した ひ とつ のモ デ ル を作 成 す る。 こオ!を IISIモ デ ル と い う.SI同
様,0(ま
っ た く不 適)か ら
1(最
適)の
範 囲で 表現 さオ・lる。現在
,米
同の連邦政府 レベ ルで 250種 以 liの野 生動物純のHSIモデルが 公表 されて いる。IIISモ デルが公表 されて いない種 を評価対 象種 とす る場 合には,専
門家 による既 存資料 の収集,整
理 によ って にHSIモデ ルを作成す る ことにな る。 十分な 既存資料 もな い場合 には,実
際 にフ ィール ド調査 を行 なわ な けれ ば な らな い。 いず れ に して も,HSIモ デ ルの作成 は
,そ
の野生動物種 の専門家の02
V 20 50 100
樹 冠 の 被 度
出典 :【JS
「 ish and Wildlife Service (1980b)
2
ウサギ の一種 の SIモ デ ル (実例)日本生態学 会関 東地 区会会報 51
判断 によ らな けれ ば な らな い と さオlている,
HEPを
用 いる場 合,使
ったHSIモデ ル の公 表 が 義務 付 け られ て い るが,そ
の文書 には作 成 した専 門家 の氏 名,引
用 した既 存モデ ルや 文献 を示 さな ければ な らな い.この よ うに
HEPで
は,ま
ずSI及びHSIの段 階 で,ハ
ビタ ッ トの 「質」 カミ考 慮 され る。(3)「
空 間」 の 評価 軸HEPで
対 象 とす る 1空間 」 は,開
発 事業 に よ り消 失 す る 自然 生態 系 の空 間 (開発 サ イ ト)と
,そ の代償 ミテ ィゲ ー シ ョン と して 計画 され る 自然 復 元 事業 の空 間 (代償 ミテ ィゲ ー シ ョンサ イ ト) の2カ所 で あ る.
開 発サ イ トも代 償 ミテ ィゲ ー シ ョンサ イ トも適 常 は複 数 の カバー タ イプか ら構 成 され て い るゃ カ バー タイブ とは
,植
生,水
域 な どの地 表 を獲 って いる もの の ことで あ る。 陸域 で は ‐般 的 な植/li図 が これ に相`路す る
.沿
ナiを域 で は,必
要 に応 じて, 磯,砂
浜,藻
場 な どに分 類 され るだ ろ う。ハ ビ タ ッ トの 「
質
│を
総 合的 に決 わ すHSIは,調 査 地 域 の カ バ ー タ イ ブ ご と に 算 出 さ ね る. AHSI(Averそige Habitat Suitability lndex, `F士匂FISI)
は
,そ
れ ぞ オtのカバ ー タ イプ の 遺F積比率 によ りそ れぞ れ のHSIを加 重 平均 した もので あ る.次 に
AHSIに
開 発サ イ トあ る いは代 償 ミテ ィゲ ー シ ョンサ イ トの 面積 を乗 じ,II【 i(Hal)itat Unit, ハ ビ タ ッ トユ ニ ッ ト)を
求 め る。 従 って 、II【すに は,評
価 対 象種 の ハ ビ タ ッ トの 「質
│と
「空間│ の情 報 が 含 まれ て いる.(4)「
時 間」 の評価 軸時1苫lと い う視 点 か らみ て み る とゃII【チ,AIISl,
HSl,SIの
どれ もが,あ
る瞬 肘│を 切 り取 った場 合 の指 数 で あ り,「時 ドil」 の概 念 は存 在 して いな い.自然 復 元 事 業 を言‖Z価す るHEI)では
,時
│卜1と と もに変化 す る野 生 動物 の ハ ビタ ッ トを考 慮す るた め に, CII【チ(Cumulativc IIabitat tlnit, 累 千責白匂HU) とい う単位 を最 終 的 な評価 値 と して いる.
CIIUを 求 め る た め に
,開
発 サ イ トと代 償 ミテ ィゲ ー シ ョンサ イ トの計lalを 事前 に整埋 す る。 例 えば,開発サ イ トで は、いつ樹 木 を伐 採 す るのか。適 正 指 数
︵S
←
図
―
‑29‑一
日本生態学会関東地 区会会報 51
代償 ミテ ィゲ ー シ ョンサ イ トな らば
,い
つ植 栽 11 事 や 追 加植 栽IL事を行 い,メ
ンテ ナ ンス を どの よ うにす る予定 な のか,と
い う計画 で ある。 理 論的 には,復
元 しよ う とす る 自然 生態 系が完 全 に復元 す る まで の期 間 を仮 に100年だ とす れ ば,10oイli間 の
HUの
変化 を 予測 す る必 要 が あ る.実
際 には,要所 ご と の
HUを
求 め,そ
れ ら を 直 線 補 間 してCHUを
求 めて い る.図
3に HUと CHUの
関 係 を 示 した 。 これ は,二 次 林 にお け る ゴ ミ処 分 場1翔発 と供 用 に 関 す る
HUの
経 年 変化 を表現 した もの で あ る。 グ ラ フの 縦llmは ハ ビ タ ッ トの価lljh(II【」)の
変化 を,横
軸 は時 間 的経 過 を示 して いる。 まず,11事
開始 時点 (0年)に
は900HUだ
った もの が,上
工事 件 に よって 本気 にllR下し
,供
用 (ゴ ミ埋 立 て)開
始 時 点 (5年後)に
は400HUに
な って お り,そ
の 後,ゴ
ミの対!立て作 業
,ゴ
ミ運 搬 車 両 の行 き来 な どで さ らにHUは
低 下 し,最
終 的 にゴ ミ埋 立て が 修 了 し た 時 点 (20年後)で
は20011Uま で に低 ドす る 供 用修 r後,共
11復元,値
栽 な どの メンテ ナ ン ス を50年実 施 す る た めHUは
500程度 まで にJ復す るそ の後 は
,植
化 が 自然 に回復 す る と と もに野 生動 物 な ど も戻 り,生
態 系 は徐 々 に復 元 され て い くの でHUは
漸 増 して い く.し
か し,100年
単 位 で は も と も との9001lUまで に4ら
な い.HEPで
は, この よ うに 開 発 幸f業計 画 にお け る 重 要 な 時 点 (この例 の場 合は0,5,10,20,80,
llll)年後
)に
お け るHUを
検 討 し,HUの
経 年 的 変 化 を表現 して い く,図
3にお け るHUの
経 年 変化 の横 分値 (図中の余十経赫 い分)は
累積 的 IIU(CHt十)をォRし て いる.
と ころ で
,HEPを
用 い る こ と に よ り、1用 発事 業者 はゃ 将 来 にわ た る明確 な 開 発 fi事占1画及び 白 然 後 元1:事計画 の 金貌 を公 開す る ことを強 い られ る.II(す の カー ブ を表現 す る こ とは,開
発 と代 償 ミテ ィゲー シ ョンの 具体的な姿 を表現 す る こと と 岡義 で あ る米 国 の環 境 アセ ス メン トで は
,事
前 に代償 ミテ ィゲー シ ョン計 画 や そ のモニ タ リング計 画 (日標 設定 や成功 基rlrを含む)の
提 出が 事 業 者 に義 務 づ け らだ1てい る (凹「11,1999)が, HEPの
1二強 学 白勺 面だ けで はな く,こ
の よ うな情 報公│チ門ツー ル と し/ての側面を理解す る ことはきわめて重要である。
lIEPに お いては,IIuまで のステ ップにおいて,
「主体
│ご
との 「質J×
「空 間 │力 `考慮 され,CIIUに よ って
,そ
オとに 1時間Jの
概 念 が追 加 さ れ る̲いl̲)
800 ‑―
700 ‑
600 ‑
出典 :田中 (1998b) 図
3 HUと
累本責的IIU(CIItl)の 1業1係(5)ノ
ーネ ッ トロス政策 に基 づ く比 較本 来 の
HEPで
は.開
発 に よ り消 失 す る 生態 系 と代 償 ミテ ィゲー シ ョン と して復 元 ・ 創造 さね る とL態系 の 両サ イ トにお いて,開
発 事業 が あ る場 合 とな い場 合 のそ れ ぞ れ の ケー ス,即
ち 合計4つ
のCII【rを求 め る。
図
4に
お い て 開 発 が あ る 場 合 とな い場 合 の 差 は,開
発サ イ トの場 合は 「nct bssl(損 失の総 殺)で あ り
,代
償 ミテ ィゲ ー シ ョ ンサ イ トの場 合 は1ld Hain」 (利益 の総 量
)で
あ る.HEPで
は,開
発 サ イ トの 「net 10ssJと 代 償 ミ テ ィゲー シ ョンサ イ トの Ilct gain」 カミ等 し くノヾラ ン スが 取 オlて い る状 態,上tl」ち 十ノー ネ ッ トロ ス (no rlet 10ss)│の 実 現 を最 終 日標 とす る。 ウ ェ ッ トラ ン ドに関す る ノー ネ ッ ト[Jス政 策 (現状 の ウ ェ ッ トラ ン ドの総 豊 を維 持 す る政策
)は
ゃ 前ブ ッ シ ェ1政権 か ら ク リン トン政 権 を経 て,現
ブ ッシュ政権 にづ│き継 が オ′
1てい る米1呵の環境 政 策で ある。
米国 の ウ ェ ッ トラ ン ド開 発 に伴 う代 償 ミテ ィゲ ー シ コンで は ノー ネ ッ トロス を実 現 す る ことが義 務 づ け られ る。 と ころ で
,50haの
十 潟 を 開 発 で 埋 め 立て る場 合.同
様 な 十潟 を50ha造成 す ″1ばハ ビ タ トッ
・ユ エ ッ ト
80 暮
☆ 僣 f 時
50 時間
20 供 用 終 了 時 停 用 中 1 5 供 用 開 崎 時
︲ 0 工事 開 始 時
―
‑30‑―
良 いわ け で は な い
.50haの
新 設 千 潟 が 生 態 的 に も成 熟 し,埋
めtて
られ た千 潟 と同様 の機 能 を有 す るよ うにな るた め には時 間がかか る.そ
の時 間 差 の分 だ け代償 ミテ ィゲ ー シ ョンの面積 は増加す る.この よ うな政策 の結 果 と しノて
,図 5で
示 した ようにサ ン フ ラ ン シ スコ湾 岸 で は
,代
償 ミテ ィゲー シ ョンによ る 自然復元 の面積 は開発 によ る埋立画 績 を上 回 って い る.出 典 t田中 (1998b) 図
4 HEPで
み る ノー ネ ッ トロ スの概 念― 離 面 積
面15°
校1。。
言営
SSSS皆
督言冒吾81ヨ ヨヨ景旨旨愚ヨ白営│li蝉t i ljl「キ'(1998b) 図
5
サ ンフランシスコ湾 における埋 立面積 と自然復 元面積 の変遣
6. おわ りに
これ まで 見て きた よ う に
,HEPは ,自
然 復 元 の評価 に不 可 欠で ある と考 え られ る 1主体Jご
との 「質
JX「
空 陪j」XI時
間Jと
い う概念 に │ム分 考 慮 して い る ことが 明 らか にな った.過去 の 話 にな るが
,も
しを 知 万 博開 発 の環 境 ア セ ス メン トにお いてHEPが
使 わ れ れ ば ,「 れ 卜│の 森Jの
将 来 の姿 も最 初 か ら明 らか に され た ので あ る。 なぜ な らば,CHUを
求 め るた め にHビ の経 年 変化 を予 測 しな ければ な らず,そ
の た め には,開
発 サ イ ト及び 代償 ミテ ィゲ ー シ ョンサ イ トにお け
H本
生態学会関 東地区会会報51る
,半
該 開発 事 業以 外 の累積 的 な環 境影 響 も考慮 しな け れ ば な らな い か らで あ る IIIEPを用 い る た め には、 将 来 の保 全 計 いiを明確 に して お く必 要 が あ り,そ
の 意 味 で は,HEl)に
は 開 発 事業 の環 境保 全 施 策 を促 進 す る効 果が あ る といえ る.さて
,HEPに
は,IISIモデ ル 構 築 が 複 雑 過 ぎ る,HSIモ
デ ル を構 築 す るの に 十分な既 存研 究 が な い, 日本 の都 市域 の よ うにモザ イ ク状 に岳L開発 され た場 所 で の適 用 は 困難 で あ るな どの疑 問 も出 て い る。 実 際,米
国 で も,IIEPは
最 も普 及 して い る生態 系評価 手 法で ある とは いえ,そ
の ほ とんどが
HSI年
を簡 略 化 した 「修lL HEP(ModificdIIEP)」 で あ るの モ)事実 で あ る
HEPの
導 入 を含 め,今
後 の 日本 にお け る 山然 復 元事 業 の評価 に対 して は以 下 の よ うな事柄 に留 意 す る こ とが肝 要 で あ る計画 策 定 時 に
,開
発 に伴 う代償 ミテ ィゲ ー シ ョ ン と して の 自然復 元事 業か,独
立 した 自然復 元 事業 か を明確 に区別 してお くこ と,計 画 策 定 時 に,「日棟
Jと
「成 功 基準Jを
明 ら か に してお く こと,ま
た,成
功 基準 を計量す る た め の 「モ ニ タ リング 子法」 を明 らか に して おく こ と.
自然 復 元事 業 の 「日標」,「 成功 基 準
J及
び 「モニ タ リング 手法
Jに
、「主 体Jご
との 「質IX
「午 問」 × i時間
Jと
い う4つ
の 評価 軸 を 含め る こ と,こ
れ はIIEPに限 らず 必 要で あ る 自然 復 元 事業 の 「目的Jは
多 様 で あ って も,そ
の 中 には必 ず 動物 のハ ビタ ッ ト保 全とい うとJ的 を 含め る こ とによ って
,よ
り生物 多様 性 の保 全 に寄 与す る こと.自然 復 元 事 業 の 多様 な│1的 (ハビ タ ッ ト、景観、
レク リエー シ ョン等)の優 先順 位 を 十分検 討 し,
計 世hi8手に明 らか に して お く こと。
lIEPの 表 画 的 な 技 術 論 だ け で は な く,11lEI)の よ うな 手続 きが 生 ま油 た 米回 の背 景 を 十分 に理 解 した 上で用 い る こ と
(IIEPの
法 的 背 景に つ いて は,田
中(2()02a)を 参照 され た い)IIEPは生態 学 の学 問 的 調 査 ツー ル と い うよ り も
,開
発 と保護 の バ ランスを図 るた め の実 践 的 な ツー ルで あ り,そ
の傾1面を 1・分 に理解 した 1を 一―t〕1‑
日本生態学会関東地 区会会報 51
で
,IIEPを
使 う場 合,SIや
HSIの構 築 の た め各方 面 で
HEPを
含 む 様 々 な 定 量 的 手 法 の応 用 事 の 調 査 に不 必 要 に時 間 と手 間 をか け る こ とな例 が 出て くる こ とを期 待 した い。
く
,必
要最低 限 で最 大 の効 果 を生 み 出す こ とを考 え る こと
.
づ1用文献・
HEPは
実 質 的 な 生態 系保 全 を 目的 と した ハ ビ1`
anaka,Akira(2(〕 ()1)i Changing Ecological タ ッ ト・ アプ ローテによる唯一の定豊的な生態Assessment and Mitigation in」
apani Built 系 の評価 手法で ある点 を │ム分,認
識 した 上で, Envronment 27(1),35‑41
「質
J×
1空間J×
「時間Jと
い うHEPの
基 本Danに
1,C.and Lamaire.R(1974):Evaluating ettcts 的 メカニ ズム を壊 さない範L41で,日
本 の実状 に Of water resource dcvclopments on wildhtt habttat:合わせて簡略化 を検 討 してい くことが現実的で Wildlitt Sodety Bulledn 2,114118
ある
. schamberger,Melvin L and Kumpf,Harman E
。その際, 日本の狭いモザイク状の生態系の特徴 (1980):Wetlands and wildlife values A practical をよ く反映で きるよ うなIISIモデ ル の構 築 を, field approacll to quantifying habitat values.
生態学的な レビュー を並行 しなが ら
,進
める こ Estuarine Perspectives 37‑16とが重要である
. us̲「
ish and Wildlifc Service(198()a):HabitatEvaluatiOn Proccdurcs(HEP):US Dcpt of
胃頭 で述 べ た よ うに
,自
然 復 元 事 業 は 今後 も加 Intcrior,Fish and Wildlifc Scrvicc,Ecological 速化 さね るで あ ろ う.し
か し,既
存 の 自然 復 元 事Service Manu創
101,102をind 103,368pp来 の 中 には計lllll策定 時 に定 職的 な 日標 設定 が 行 な U.S.rish and Wildlife Service(1980b):Habitat われ て いな い もの も多 い
suitabiltty lndex MOdcL:Eastcrn Cottontail
当た り前の ことで は あ るが
,計
画策定 時 に 「日′IIeweek,J()(2000):Ecological lmpact Assess,lenti 標Jカミな けねば
,将
来 の 「成 功 基 準Jも
な い。 そBlackwell Sdcnce,351pp
の 際 の 日標 が 「
定 章 的
Jで
な けれ ば 成 功 基 準 も大野 輝 之
,レ
イ コ ・ ハ ベ ・ エ バ ン ス(1992):
「定 景的
Jで
は あ り得 な い.成
功 基 準 が 「定 量 的J
「都 市開発 を考え る一ア メ リカ と日本 一」,岩
波でな けれ ば
,モ
ニ タ リング の 方法 も 「定 戦的
Jで
新 書235pp
あ り得 な い.結局,自然復元 の計 画策 定段 階 か ら
,
環 境 省 (2111)2)i国 際 シ ンポ ジウと、環 境 アセ ス メ│ド体
Jご
との 「質」ゃ「空1判J,「 時 間│と
い う評ン ト と 生 物 多 様 性 の 保 全 一 課 題 と 展 望 ― 価軸 を考 慮 し
,そ
れ ぞ オ1に対 して 具体 的 な イ メー90pp
ジ を 形 成 して お く こ とが 重 要で あ る
.HEPは ,
武 内和 彦(1994):「
環 境 創 造 の思 想J,東
京 大 そ の よ うなニ ー ズ に十 分 に応 え る こ とが で き る手学 出版 会
198pp
法 で あ る といえ る
田 中
章 (1998a):環境 アセ スメ ン トにお け る ミ さ らに
,学
校 や 公 同 の ビオ トー プな ど,既
に維テ ィゲー シ ョン規 定 の変 遷 :ラ ン ドス ケー プ研 持段 階 に きて いる先行 事例 につ いて も
,後
付 けで究61(5)763‑768
日標 や 目的 を明 確 化 し
,HEI対
勺な 定 量 的 評 価 を日 中
章
(1998b):生
態 系 評価 シ ステ ム と して 行 う こ とに よ って,1本
当 に 自然 は復 元 しつ つ あの
HEP:島
津 康 男 編環 境 アセ ス メ ン トこ こ るのか
?Jと
い う説明責任 を果 た して い くことがが 変わ る :環境 技 術研 究 協 会,81‑96
望 まれ る。
田 中
章
(1999):米
国 の代 償 ミテ ィゲ ー シ ョン な お,今
年 設 立 され た 環 境 ア セ ス メ ン ト学 会事 例 と 日本 にお け るそ の 可能性 :ラ ン ドスケー
(httpノ/wwwjsね.net/)では,′li態1系分野 の占`r価手
ブ研究
62(5)581‑586
法や ミテ ィゲー シ ョンのあ り方 につ いて検 討す る
幽中
章
(2000):環
境影響評価 制度 にお ける ミ 生態 系評価研究部会が活動 を始 めてお り,そ
の中テ ィゲー シ ョン 子法の国際比較研究 !ラ ン ドス で
HEPの
日本での応用 も研究 されて いる。 今後,
ケープ)研究 62(5)170‐177一
‑32‑
日本4i強学 会関束地 区 会会眼51
田 中
キ
(2002a)i米
国 の ハ ビ タ ッ ト評 価 手 続タ ッ ト評 価 手 続 きHEl)につ い て :ラ ン ドス ケ き IIEPⅢ 誕 生 の法 的 背 景 :環境1肯報 科 学
31 ‑ブ
研 究65(4)282‐285(1)37‑42
森清 和
(1999):生
き物 か らの 風 景デ ザ イ ン,日 中
章 (2002b):何を も って 生態 系 を復 元 した
進 士 五 1本八他 替 「風 景デザ イン感性 とボ ランテ とい え る の か?41二態 系 後 元 の 日標 設 定 とハ ビ
ィア の まちづ く り」
,学
芸 出版 社334pp‑3t〕 ――
日本 牛 態 学 会 関 束 地 区 会 会 報 51
【表 紙 写真 の解 説】(出中
章)
力1)フィル エ ア州 ウ ェス ト・ サ クラメ ン ト市のサ ク ラ メ ン ト河 沿 いの リゾー ト型住宅 地 開発 に伴 い環 境 アセ ス メ ン ト調査 を実 施 した と ころ
,開
発 サ イ トは写 真のValにy elderberry longhOrn beede(VEIフ13)のαぶ″2θごβ″″Sごαち々,/%た″Sr77777θつカクS)を含 む 複 数 の保 全す べ き種 の生息 地 で あ る こ とが 判 明 した
,開
発 サ イ トは,州
都 で あ る 隣 のサ ク ラ メント市 に比 べ て都 市基盤 整備 が遅 イ1て ス ラと、化 して いた場 所 で あ り
,ウ
ェス ト・ サ ク ラ メ ン ト市 ヽ局 も政 策 的 に開 発 を誘致 した い とい ぅ背 景 が あ った た め に,民
間 事 業 で は あ ったが,計
向 は 「回避Jされ ず に実 施 され る こ とにな っ た。 ミテ ィゲ ー シ ョン と して は,VELBが
営 巣 す る Elderberryの 木 を近 隣 公 園 に移 植 す る な どの 「最 小化 」 ミテ ィ ゲ ー シ ョン と併せ て,「 回避」 も 「最 小化」 もで きな い′│:態系 へ の忠 影 響 (即ち,habitatsの 消 失)に
つ いて は,そ
オtに児 合 う 1代償 」 ミテ ィゲ ー シ 」ン を実 施 す る こ とが義 務 付 け らね た (「 回避 → 最 小化 → 代 償Jとい う ミテ ィゲ ー シ:]ンの種 類 と優 先順 位 は,1997年に公 布 さね たわ が 国 の環 境影 響 評価 法 に も導 入 さオ1て いる )
開 発サ イ トで消 失す る,VEIフBのhabttatsを 含む保 全す べ き種 の生忠地 は 16 8haで あ った が,結局,58 7ha以上 の,
開 発 サ イ ト以 外 で の新 た な 11忠 地 の後 元・ 創造 が 事 業 者 に義 務 付 け られ た
今回
,紹
介 した50haの代 償 ミテ ィゲ ー シ ョン 事業 は,58 7ha lコ ま不 足tンて い るが,実
は,今
│「││,紹 介で きなか T,た が,も
うひ とつ の 代償 ミテ ィゲ ー ション事 業 と して51ha分の 生忠 地 復 元 ・創造 事 業が あ り
,令
部 で101haもの代償 ミテ ィゲ ー シ ョンを実 施 して いる こσうよ うな ′li息地 の損 益 計 算 は,米
国 で は通 常 ,IIEI)はIabitat IEvaluatlljn P煎だedurc)な どの定 星的 仕態 系評価「 法 によ って行 われ て いると ころで
,単
純 に 失わ ね る山f積 と新 た に後 元・ 制進 す る 面積 とを比 較 す るだ けな らば,16 8haの 代 償 だ けで よ い こ とにな る.しか し,実
際 に は, 人1二的 に ′に態 系 の後 元 を 早め た と して も開 発 サ イ トの1上忠 地 の 消 失 と代償 ミテ ィ ゲー シ ョ)サィ トθD′│:忠地 の 誕 生 とは「Jじ 時 ナ明に は実 現 で きな い (これ を!可能 に した の が ミテ ィゲー シ ョン・ バ ン キ ン グ 制度)つ
ま り,時
間 の損 失 分 をよ り広 い空││11確保 に よ って 補 う とい う考 え方 で あ るこれ を inO net ioss 政 策 と呼 び
,あ
る保 全す べ き4上態 系 を破壊 せ ざ る を得 な い場 合,そ
の 生態 系 の 「質X空間 ×時 間│とい う総 ■につ
いて維持 す る とい うもσDで あ る.HEl)はそ の た め の 評価「 法 で あ る.
さ て, 今陣1,紹介 した 代 償 ミテ Tゲー シ ョンは ,「41すこサ イ トと1司 じサ ク ラ メ ン ト河 沿 い の50haの トマ ト畑 を 198911二に確 保 し、 そ こに i[│ナ !湖 を1991年に造 成 し
,必
要 な 樹 木や 卓本 類 を植 歳 し,育
て る こ とで,開
発 サ イ ト で 失わ オlた ′│:旭、地 を代 償 す る とい う もので あ った写 真で み る よ うに比 較 的
,短
期 で植 生 な どが 回復 した が,これ は控lllt,打1草除 ム,追
加tll栽な どの きわ め て 集 約 的 な メンテナ ン スが行 わ ね た こ とによ る筆 者は
,本
事業 に環 境 アセ ス メン トと ミテ ィゲ ー シ ョンの コ ンサ ル タ ン トと して 従=rした。 な お
,詳
細 は 関 連 す る拙 稿 を参照 して いた だ けオtば子 いで あ る殿1中
章 (1995):環境 アセ ス メン トにお け る ミテ ィゲ イ シ ョン制度 :― ア メ1)力
,カ
リ フ ィルニ ア の例 t人間 と 環 境21はり154159lJ中
章 (1998)tア メ リカの ミテ ィゲー シ ョン・ バ ンキ ング精 度 :環境 情 報 科 学 27(4)16‑53
田 中
章 (1998つ :環境 アセ ス メ ン トにお け る ミテ ィゲー シ ョン舟せ定 の変遷 :ラ ン ドス ケー ブ)研究61o7は〕‑768
111中
章 (1998b)i/1態系 評価 シ ステム と して のHIEI):島津 康 男編
環 境 ア セ ス スン トこ こが 変わ る :環境 技 術 研 究 協 会,81‑96
111中
t(1999):米
国 の 代 償 ミテ ィゲ ー シ ョン 事例 と │1本 にお け るそ の 商r能 性 :ラ ン ドスケ ー プ研 究 62(5)581‑586
田 中
寺 (蟹Xx)):環境 影 響 評価 制度 にお け る ミテ ィケ ー シ ョン手法 のlll際比 較研 究 :ラン ドス ケー ブ研 究62(5)
170‑177
,H中
章 (2002):米国 の ハ ビ タ ッ ト評価 手続 き
"HEF誕
生 の法 的 背 景 :環境 情 報 科 学3](1)37‑12性1中
章 (2002):何を もって ′│1態系 を復 元 した とい え る の か?―′ヤ態 系復 元 の 目標 とハ ビタ ッ ト評 価 手続 き
HE
Pにつ いて :ラ ン ドス ケー プ研 究 64(5)282‑285
111 ill 草 (20()2):米 国 の 油 流 出 事 故 に伴 う/1:態系 後 元 とそ の定 量 的 評 価 子法HEI〕 :咲境 アセ ス メ ン ト学 会 2002 年 度研 究 発表 論文 要 旨集 (2002イト9月 28 29日
り」れ 大学)120‑125
【裏 表紙 写真 の解 説 】(夏原
由 博)
カ ス ミサ ン シ ョウウオ の生忠 地 は
,■
に 丘陵 地 や 台 地 にあ る樹 林 と湿 地 や 水 田が 隣接 す る場 所 で あ る。 こう した 場 所 は,開
発 され や す く,開
発 に よ る牛1息場 所 の 消 失が 本種 の 央退 の主 要 な原 閃 と され て いる本種 の 卵 と幼 生が 水 中で 過 ごす 期 間 は3月か ら7月 まで と長 いた め
,水
│十1耕作 放 乗 に よ る 水位 の不 安 定 化 や 固場 整備 に よ る乾 [J化 と工面張 りの水路 も衰退 に拍 車 をか けて いる
―
‑42‑―
ISSN 0289‑2421
2003.March 第 51号
■ !'.■ ■ ● 十■ ゥ││ I Ⅲ ―, メ│ ィす 十
= ■十 ■ ガ ィ│ ィ│ んr.││ ガ│ 十1 ′■ li tl メr イカ ■下 す .デ ィ│ ,デ , ″│ , 1 ., T ,1 京 ,メ,l ri
特集 「生物 多様性か らみた生息地の評価 と復元」
1 :Valley elderberry longhOrri beetle
駒 ?│マ″″S Cα″Fo″%2Cクギ Ⅲ ″ Q響 力物S
の生 息 地 で あ った開発 サ イ ト
ク
2:
:トトマ ト女マ トt用田を確保孝石を保 l qF1989年
4:猛
禽類 が生 息1993年
日本生態学会 関東地 区会
3:三
日月湖 を掘 削1991年
日本 生態 学 会関 東地 区会 会報
第51号 20034i3月 31日 先4予
日本 生態 学 会関東地 区 会 会長
格
宜 高
事務 局 :〒 305‑8506茨 城県 つ くば 市 小野 川162 独 立行 政 法 人国 立環 境研 究 所
生物 多様性研 究 プ ロジ ェ ク ト 椿
宜 高負t付
TEIフ/SttX 029‑850‑2482 永 田 尚志 (庶務)
辻
室 行 (会
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│)占
田勝 彦 (編集)